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勉強らしくないのに大きな学びが得られる名門校の名物授業

優秀な人材を輩出する名門校には、名物と呼ばれる授業があります。どの学校も、先取り学習など目先の教育ではなく、人生で役立つ人間力を鍛える授業を展開しています。その背景にある考えや意図を知ることで、名門校の人材育成の極意に触れてみましょう。
http://kosotatu.jp/名門校の名物授業/

東大寺学園では、昔から続く読書の時間が、アクティブ・ラーニングの場となる

・「読書」の時間の半分近くは脱線トーク、それでも話の核心はブレていない
東大寺学園では、中1で「読書」の時間が設けられています。週1回1時間を使いますが、決められた教科書はないので、取り上げる題材や授業の進め方は担当教諭により様々です。

ある日の授業では、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を扱っていました。前回の授業では先生が本を朗読しており、今回がこの教材で2回目となる授業です。

授業が始まってしばらく経っても、なかなか本題である『蜘蛛の糸』の解説は始まりません。東大寺学園OBでもある担当教諭の中学時代の仲間とのエピソードを面白おかしく話しています。生徒たちは先生の話術に爆笑しながら、目を輝かせて聞いています。

本題に戻ったのは授業も後半に差し掛かった頃です。黒板に一言、「蜘蛛の糸はなぜ断たれたか」と書き、各自がノートに自分の考えを書くように指示しました。

与えられた時間はわずか5分です。先生が机の間を一巡し、それぞれの作業が進んでいることを確認してから、ようやく口を開きました。

蜘蛛の糸を垂らしたのはお釈迦様だけれど、糸を切ったのもお釈迦様?」これに対して多くの生徒が次々に自分の意見を発言し始めました。授業前半で場の空気があたためられているからか、非常に活発な意見交換が行われます。

先生は適度に口を挟みながら、『蜘蛛の糸』のテーマの1つでもある「エゴイズム」に議論を導いて行きます。

授業の様子からも分かるように、講義の目的は『蜘蛛の糸』の読解ではありません。東大寺学園に入学して最初の1年間で、本を読む楽しさを知ってもらうことが「読書」の授業の狙いです。このスタイルの授業をもう40年以上続けてきています。。

・教科書は無くツールに頼らない授業だからこそ、教師の真価が問われる
東大寺学園で「読書」の授業を担当するのはベテラン教諭とは限りません。新人であっても同様に、一からレッスンプランを組み立てなければなりません。

教材となる作品を鑑賞するのではなく、その文章を通して生徒に何を伝えたいかを考え、その為に必要な教材を選び、授業を組み立てていく作業は、教師にとっても大切な経験となります。

「読書」の授業の完成度を上げて、生徒たちの知的好奇心を満足させるには、教師自身がどれだけの引き出しを持っているかが鍵となってきます。つまり、教師のレベルが問われているのです。

現在の日本では、2020年の教育改革を見据え、「アクティブ・ラーニング」や「ICT教育(インターネットやデジタルコンテンツ、タブレットなどの情報通信技術を教育で活用すること)」を取り入れることに各学校が躍起になっています。

ですが、教育で本当に重要なのはそういったツールではなく、教師が生徒たちに何を伝えたいのかです。

情報ツールは、教師がレベルの高い授業を展開する手助けとして使うべきですし、教師の力量が高ければ、アクティブ・ラーニングという言葉が登場する前から双方向のやりとりが活発な授業は展開されてきています。

手法は昔のままに、40年以上も前からアクティブ・ラーニングを実践してきた東大寺学園の教育水準がいかに高いかが分かる授業です。

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